日本初!大田区の「民泊」条例の施行で、生活が変わるかも・・・

大田区で、「民泊」が遂に合法化

先日12月7日、外国人観光客の急増で課題となっている宿泊施設の不足を解消するため、東京都大田区が区議会に提出していた、「民泊」を一定の条件で認めるための条例案が可決されました。

大田区議会 民泊

画像引用:www3.nhk.or.jp/news

大田区では早ければ来年1月から、全国に先駆けて条例に基づいた「民泊」が始まる見通しです。

「民泊」を行うための条例が制定されるのは、実は大阪府が先だったのですが、大田区では条例制定以外に必要な手続きもすでに終わっていることから、早ければ来年1月から全国に先駆けて事業者の募集を始め、2月半ばにも実際に宿泊が始まる見通しとなっています。

 

大田区の民泊条例の主なポイント

  大田区の民泊  ホテル・旅館
フロント 不要 必要
宿泊日数 6泊〜 1泊〜
最低客室床面積 25平米〜 7〜9平米〜
近隣住民への周知 必要 不要

ホテルや旅館との大きな差として、宿泊日数があります。
最低6泊7日以上滞在しないと「民泊」としては認められないようです。
これはホテルや旅館の営業を圧迫しないようにとられた措置ですが、7日間も大田区に滞在する外国人なんて少なそうですね。

そして大きな課題は、近隣住民への周知でしょうね。
近隣からの反対意見などが多くなってしまった場合に、衝突がおきそうです。

 

▼大田区の「民泊」条例の全文

大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例

(趣旨)
第1条
この条例は、国家戦略特別区域法(以下、法という。)第13条第1項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関して必要な事項を定めるものとする。

(国家戦略特別区域法施行令第12条第2号の条例で定める期間)
第2条
国家戦略特別区域法施行令(以下、政令という。)第12条第2号の条例で定める期間は、7日とする。

(立入調査等)
第3条
区長は、法第13条第9項の規定の施行に必要な限度において、その職員に、同条第4号に規定する認定事業者(以下、認定事業者という。)の事務所又は政令第12条第1号に規定する施設に立ち入り、当該認定事業者に係る法第13条第4項に規定する認定事業の実施状況について調査させ、又は関係人に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査又は質問を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(事業計画の周知)
第4条
法第13条第1項に規定する特定認定(以下、特定認定という。)を受けようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ当該特定認定に係る事業計画の内容について近隣住民に周知しなければならない。

(委任)
第5条
この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

付則
この条例は、規則で定める日から施行する。

 

「民泊」は海外では当たり前の宿泊手段

「民泊」とは、個人が家の一室などを旅行者に貸し、宿泊場所を提供することです。

海外では、インターネット上で宿泊希望者と部屋の提供者をつなげるサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」が拡大し、旅行者にとって「民泊」が宿泊先の選択肢の一つになりつつあります。
ロンドン五輪の際には、なんと1800人の地元民が自分の部屋を「民泊」として登録し、実際に来訪者1万人がそれらを「民泊」として利用したというデータもあるようです。

利用者を泊めることで収入を得る民泊ビジネスは、マンション探しをされている方なら、聞いたことがあるのではないでしょうか?
Airbnbでは、部屋を提供するホストと、部屋に泊まるゲストの仲立ちをする形でAirbnbが間に入り、その手数料収入で運営されています。

貸し出す部屋は、完全に独立した家または部屋とは限らない柔軟性も評価され、単に空き家・空き部屋を貸すだけではなく、互いに望めばホストとゲストとのコミュニケーションが図れることも、Airbnbの利用者を増やしている理由です。

同類のサービスもありますが、Airbnbの規模は段違いで、登録物件数は平成27年8月現在で、世界に150万軒以上、日本では1万3千軒以上です(2万軒以上の報告もあり)。

 

実際のところ、かなり儲かるらしい・・・

日本でも多くの物件が、すでにAirbnb上で公開されており、多額の収益を上げている事例も多数あるようです。

airbnb

画像引用:airbnb 公式HPより

「民泊」は、低コスト高利回りの新しいビジネスモデルとして、大きな期待が寄せられています。価格設定にもよりますが、一般的に賃貸と比べて、需要がある限りは、高い利回りで運用することができるとされています。

例えば、賃貸で月15万円の部屋を、1泊10,000円で貸したら、15日で十分にもとが取れますし、1万5000円で貸すことができれば10日で元が取れます。
※賃貸物件は、所有者が転貸を許していない限り、居住用として賃貸借契約されるのが普通なので要注意です!

上記はあくまで一例ですが、大家や投資家などにとっては大きなメリットがありそうですね。

 

一方で、トラブルも多発中・・・

民泊 Airbnb ゴミ

著作者: lwpkommunikacio

Airbnbなどの「民泊」ビシネスは、度々社会問題としても取り上げられています。

Airbnbなどを利用した民泊で問題とされているのが、周辺住民の不安感で、見たこともない人が、入れ替わり立ち替わりで一室から出入りしている状況は、特に集合住宅ならよく思わないのは確かでしょう。ゲストが借りた部屋で、何がされるかわからないので、そりゃ周辺住民からしたら、不安ですよね…

高級タワーマンションの一室を購入し、豪華な部屋と設備の提供で運用しているケースもあるようで、分譲マンションの共用部分を民泊ゲストに提供して、パーティルームが散らかり放題だったり、ゴミの分別がされていなかったりなどの迷惑行為も、話題となっていたす。
マンションの共用部分は、区分所有者の共有持分ですから、民泊の利用者に使われることに抵抗ある人がいて当然ですし、資産価値の一部を荒らされて気分がいい人はいないはずです。

現に、Airbnbへの登録を、管理規約レベルで禁止するマンションも出始めています。
不安感を拭いされない既存住民が多い中、この動きは拡大していくと思われます。

 

「民泊」条例によって変わること

「民泊」は、プラス面、マイナス面も持ち合わしているのが現状です。

分譲マンションの実需層の立場で「民泊」を考えると反対意見でしょう。

一軒家であれば、まだあまり影響はないかもしれませんが、最新マンションのセキュリティは、残念ながら大幅に弱体化してしまいます・・・

近年の新築マンションでは、3重・4重のキーチェックがあり、容易に外部の人間が入ってこれないようになっています。この厳重なセキュリティによる「安心感」が一つの資産価値とも言えます。

4重セキュリティ

画像引用:ブリリア有明スカイタワー 公式HPより

しかしAirbnbなどの「民泊」が可能になることで、マンション内に誰でも入りやすくなってしまいます。
例えば、Aさんがセキュリティの厳重なマンションに住むBさんに何か恨みを持っていたとして、今まではBさんのマンション内に近づく事はできませんでした。
しかし、Bさんと同じマンションの一室が「民泊」としてAirbnbに出ていたとすると。。。
Aさんはその部屋を借りれば、エントランスやエレベーターなどのセキュリティを戒懼ぐり、Bさんの自宅の目の前(玄関前)まで行く事が出来てしまうかもしれません。

あくまでこれは一例ですが、ストーカー絡みなどで、将来このような事件が起きてもおかしくはないのではないでしょうか?

しかし逆に、投資家から見れば、新たなビジネスチャンスとなりそうです。
特に東京五輪が近づくに連れて東京都心や湾岸エリアなどは、需要が一気に加速しそうでこれから追い風になり、実際に上手に運用できる方も増えていくのではないでしょうか?

また、サラリーマンにもメリットはあるように感じます。
最近のサラリーマンあるあるですが、なかなか出張先のホテル予約がとりづらくなってきましたよね。

私も、福岡や大阪などに毎年何度か出張に行くのですが、2014年あたりから本当に予約が取れないし、ビジネスホテルも価格を上げていたりして、かなり苦労しています。
そんな状況で、「民泊」によって選択肢が増えるかもしれません。(大田区の条例では現状6泊以上の宿泊が対象なので、なかなかマッチする方は少ないとは思いますが・・・)
さらに、ホテルを1室借りる費用に比べると、「民泊」の利用料はかなり安く、サラリーマンや外国人旅行者にとってもありがたい存在として、今後益々需要は高まって行きそうです。

「民泊」は住み手の立場からしたらマイナス、投資家や宿泊者の立場からしたらプラスの材料と、現時点では言えそうです。

今後の法改正や、Airbnbなどサービス側での保証改良などによっては、実需層(住み手)にもメリットが感じられる「民泊」になり得るかもしれません。
将来、「民泊」専用エントランスや設備などの対策を考えたマンションが出たりするかもしれませんね・・・

とにかく、今回大田区で「民泊」を一定の条件で認めるための条例案が可決されたことによって、良い面悪い面、様々な課題が見えてくるでしょう。
そして、今後も様々な区でこれに続く条例が制定されることでしょう。(次は杉並区が控えているとか・・・)

外国人を迎え入れる為の器である宿泊施設不足問題の大きな切り札である「民泊」。当然、東京五輪の盛り上がりなどにも影響しうる要素になるでしょう。
今後も注目して行きたいです。