2520億円という巨額の建設費に批判が集まっている新国立競技場。安倍首相は17日、新国立競技場の現行計画を白紙に戻すと表明し、政府はデザイン見直しに舵を切り始めています。
一体どうなってしまうんでしょうか?2020年まであと5年ですが、間に合うんでしょうか?
そもそも、こんな状況に追いやった一因、設計士であるザハ・ハディド氏って何物なのか。。。気になったので、調べてみました。(一応、大学で建築学専攻してましたし・・・)
建築家、ザハ・ハディド
Zaha Hadid(ザハ・ハディド)
国籍 | イギリス |
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生誕 | 1950年10月31日(64歳) イラク バグダード |
母校 | 英国建築協会付属建築専門大学 |
所属組織 | ザハ・ハディッド・アーキテクツ |
バグダッド生まれ・ロンドン在住のザハ・ハディドは、現代の建築界を牽引する巨匠であり、世界を席巻する建築家です。1980年に自身の事務所を設立、83年には〈ザ・ピーク〉の国際コンペティションで勝利。そのコンセプトとともにザハの名は一躍世界に知られることになりましが、このプロジェクトをはじめ、ザハ・ハディドの設計は当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、独立後10年以上にわたって実際に建てられることはなく、「建てた建築よりも、実現しなかったプロジェクトの方が有名」と言われ、長らく「アンビルトの女王」(アンビルト=建設されない)の異名を与えられていました。
しかし、時代の移り変わりとともに独創性と構想力が見直され、建設技術の向上も相まって、ザハ・ハディドの大型建築が次々に完成。2004年には“建築のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を女性建築家で初めて受賞しています。
主な作品実績
ヴィトラ社消防所(1993)
ザハ・ハディド建築で実際に竣工された最初の建物。鋭い角のコンクリートの板が何枚も合わさったようなこの建物はいわゆる今風のモダニズム建築といった感じです。この案件をきっかけに、次第にザハ・ハディド建築の独創性と構想力が評価されて行きます。
ベルクイーゼル・スキージャンプ台(2002)
オーストリアにあるベルクイーゼル・スキージャンプ台。スキージャンプ台には見えないおしゃれな外観だけに目がいきがちですが、デザインだけでなく機能性もきちんと考えられており、この流麗で躍動的なフォルムの中に、カフェ、展望台、助走路などが融合されています。
ローゼンタール現代美術センター(2003)
ザハ・ハディドのアメリカ・デビュー作として話題を呼んだ「ローゼンタール現代美術
BMWセンター(2005)
BMWの生産ラインもあるオフィス工場。生産ラインとオフィス部分をクールに融合させています。
フェーノ科学センター(2009)
2009年、ドイツ・ヴォルフスブルクに子供向けの科学体験施設として誕生。今にも飛び立ちそうなアグレッシブなデザインですね〜。
リバーサイド・ミュージアム(2011)
イギリス北部の街グラスゴーを中心に発展した自動車、造船、鉄道など輸送分野のエンジニアリングの進化の歴史をまとめた博物館として、2011年に竣工。天井がギザギザ(;゚Д゚)
キャピタル・ヒル・レジデンス(2011)
これもう完全に宇宙船ですね。
実はこの建物は日本でも有名なモデルのナオミ・キャンベルの邸宅です。
アクアティクス・センター(2011)
これは知っている方・見覚えのある方が多いのではないでしょうか。
2012年ロンドンオリンピック(パラリンピック)の水泳会場です。
ギャラクシーSOHO(2012)
2012年、北京市中心部に完成した延床面積約330,000㎡に及ぶ巨大建築。オフィス、商業施設、エンターテイメント・コンプレックスを内包する建物は、地下3階・地上15階建て。4つのタワーを地上部に4つあるブリッジでつないでいます。中国ではよくメディアに取り上げられているとか。
ヘイダル・アリエフ・センター(2012)
アゼルバイジャンの首都、バクーにある複合施設である。 この施設は、アゼルバイジャン前大統領のヘイダル・アリエフの名を冠している。曲線の多く流動性の強い、どこにも角がない点が特徴的です。製図するの大変なんだろうな〜
ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワー(2013)
2007年から着工し、2013年に完成した香港理工大学にあるジョッキークラブ・イノべーション・タワー。Photoshopで合成したイメージパースのようですが、これが実際の写真です。
東大門デザインプラザ(2014)
4840億ウォン(=約480億円)&5年間の建設期間をかけて、2014年に韓国・ソウルに誕生した大型展示・商業施設「東大門デザインプラザ(通称:DDP)」。アルミパネル4万5133枚で覆われたこの巨大な建物は、アートの展示やファッションショーなどの大型イベントスペースと、ショッピングモールからなる。
アブダビ・パフォーミング アートセンター(建設中)
アラブ首長国連邦、アブダビで2007年に着工し、今も尚建設途中のアブダビ・パフォーミング アートセンター。5つのオペラハウスやコンサートホールなどから成る約6000人を収容できる大型施設です。
アンビルト作品集
残念ながら、工事予算高騰などにより計画途中で、実現に至らなかった作品たち。。。
これぞ「アンビルトの女王」ザハ・ハディド建築!と言わんばかりの強烈なデザイン案が出てきます。。。汗
ダンシングタワーズ
ドバイのビジネスベイというエリアに住居・オフィス・ホテル・レジャー施設などが入る、
総合複合施設として設計されました。「3つのビルがダンスをしている」というコンセプトでデザインされたらしい・・・
こんな建物、どうやって構造もたせるんだろう・・・いつかはこんな建築も建設可能になるんですかね?
新世紀当代芸術中心(New Century City Art Centre)
前例のないレジャー施設として、世界の芸術や地域の芸術、パフォーマンス、様々な音楽の中心になる大規模複合施設として計画されていました。 3つの講堂、美術館、展示センター、学習センター、バー、レストラン、ショップを収容している。
オーパス・オフィス・タワー
これは、何でしょう…?笑
スクエア型のオフィスビルに、まるで上から液体のようなものをかけて溶かしたような、不思議な開口がポッカリ開いていて、誰もが驚く斬新なスタイルとなっています。これが実現すれば、確かにランドマークになることは間違いなさそうです。
Nuragic and Contemporary Art Museum
イタリアの海辺にミュージアムとして計画されていました。
地形と建築物がなだらかに続くランドスケープデザインと、蜘蛛の巣のような開口が印象的です。中も床(スロープ)と壁が、垂直に分断されずに、曲線んで緩やかに繋がっていて、空間に広がりを持たせています。
KAFDメトロステーション
サウジアラビア・リヤドの地下鉄駅です。国際コンペでザハ・ハディドが勝利しました。他にはない圧倒的な外観・・・実は内観も凄いんです。
新国立競技場の今後は・・・
▼コンペ当選プラン
▼コスト削減プラン
たしかにザハ・ハディドが凄いことはわかった。
しかし、我々日本人が気になるのは、やはり新たな国立競技場のこと。
旧競技場を解体する前から考え直しを求める声も多く囁かれていたにも関わらず、あっさりと旧国立競技場はすでに解体されてしまっております。
そんな状態で、予算が合わないとか・・・そりゃ、国の一大イベントなんだからもっと計画的に進めるべきでしょ!って思う人が多いですよね。
当初1300億円で計画していた費用が、倍以上の3000億円になり、コスト削減プランを出し直しても、まだ2500億円ですからね。。。
7月末にマレーシアのクアラルンプールで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、東京五輪・パラリンピック組織委員会は競技場の整備計画を公式に報告する予定なので、そこでの内容にも注目ですね。
そして、このバタバタ劇の責任は一体だれがとるのかも、サラリーマン的には気になります。
普通の企業同士の取引では、最初に提示された予算内におさめる提案をするのが当たり前で、想定が甘く実施金額が予算から大きく溢れてしまう場合は、提案した側に責任があるとし、一部負担や最悪赤字でも予算金額で納品なんてこともあると思うのですが・・・)
新国立競技場もザハ・ハディドのアンビルト建築コレクションのひとつになってしまいそうですね….