2014年度の供給戸数ランキングが発表
不動産経済研究所と市場経済研究所の調査によると、2014年度の全国マンション供給戸数実績のトップは『野村不動産』となったようです。
同調査は、全国のマンション関連主要企業118社の決算報告に沿った計画戸数などを年度単位でアンケートによってヒアリングしたものになっています。
『野村不動産』は、前年度比12.2%増と大きく数字を伸ばして、前度供給実績3位のポジションから、見事トップに返り咲きました。
ちなみに、
2位は、住友不動産(前度供給実績4位)
3位は、三井不動産(前度供給実績1位)
4位は、三菱地所レジデンス(前度供給実績2位)
2014年度の供給戸数実績は合計7万5,616戸で、2013年度実績(8万 9,036戸)に比べ15.1%の減少。消費増税前の駆け込みの反動で需要が落ち込んだことが響いたようです。
1位、野村不動産の強さとは
▼知人の野村不動産社員に簡単に話を聞いてみました。。。
一番のポイントは、「製造」「販売」「管理」の一貫体制。
商品企画から品質管理までの「製造」、売主自ら直接販売を行う「販売」、そして商品企画から参画して管理業務まで行う「管理」。これら全てを自社で行い、各現場からお客様の意見を吸い上げ、それを自社内で共有しやすい体制が築かれています。
また、現在、マンションブランドの代表格とも言える「プラウド」。
マンションブランド力という点では、圧倒的な力を持っています。
マンションを探している人で、おそらく「プラウド」という単語を聞いた事がない方は、少ないのではないでしょうか?それくらい有名なマンションブランドです。
ただ単に名前をつけているのではなく、プラウド品質という品質マニュアル的なものがあり、建具などかなり細かい部分まで、規格水準を統一化して、クオリティーを担保しているそうです。そして、そのマニュアルには、上で述べた「製造」「販売」「管理」の一貫体制で集約された情報も反映されているので、プラウドのマンション生活者の満足度は非常に高いだろうということが察せます。
あと、あまり知られていませんが、「プラウドBOX」っていう感謝祭までやっているんです!
10周年を記念して3年前くらいに開催、2日間で約1万6000人が訪れたそう。
プラウドオーナーや会員のみの招待製だったそうですが、う〜ん楽しそうっ。またやらないかな??
あれ? 2位? 住友不動産
今回の調査ランキングを見て、一つの疑問が・・・
「供給戸数第1位」は、『住友不動産』じゃなかったっけ?
住友不動産のホームページに大々的に掲示されている「供給戸数第1位」の広告。マンションギャラリーの営業マンの名刺にも「供給戸数第1位」印字がされていて、とにかく1位をアピールしまくっています。
物件ページを開く度に出てきて、正直邪魔だったんですが、住友不動産が全国で一番マンション供給してるんだぁ〜と私の脳内は洗脳されていました(笑)
でも、冒頭の調査結果だと『野村不動産』が供給実績はトップです。
そこで、よ〜く調べてみたら、こんな記述を見つけました。
▼冒頭文章抜粋
住友不動産株式会社(本社:東京都新宿区西新宿 2-4-1、代表取締役社長:仁島浩順)は、平成 26 年 (1~12 月)に全国で 6,308 戸のマンションを発売し、“年間供給(発売)戸数で初の日本一” と なりましたのでお知らせします。
カッコ内にさりげなく”発売”と記されています。。。
つまり住友不動産が謳っているのは、売り出した戸数で1位ということらしいです。
そして、私がもう1カ所になった箇所が、「全国で 6,308 戸のマンションを発売し、・・・」という部分。
冒頭の調査結果だと『住友不動産』の実績は5,260戸となっているので、
6,308戸(販売) ー 5,260戸(実績) = 1,048戸(在庫)
なんと、1,048戸も新築在庫があるという事実が発覚しました。
1,048戸はさすがに多すぎる気もするのですが、『住友不動産』は竣工後にも販売していくスタイルなので、おそらく『住友不動産』からしたら、これはそこまで問題なしといったところなんでしょう。
供給実績トップの『野村不動産』はじめ、多くのマンションデベロッパーは竣工前に完売を目指す経営方針です。これはマンションギャラリーの固定費や人件費、広告費などのコストを圧縮したり、次の物件へ販売体制を早くシフトしたりして、次々と新たな売上をあげて行きたいからです。
一方で『住友不動産』は、他とおなじく竣工前から販売は開始しますが、竣工前完売は狙っておらず、じっくり自社の物件に興味を持ってくれた方に営業をしていく経営方針をとっています。他に、『ゴールドクレスト』なんかもそうですね。
この竣工後販売について、メリットとしては、青田買いが主流になっている新築マンション購入において、実際の建物内や部屋を見てから購入できるという点で、非常に安心感をもって、購入できる点があります。ただ、人気の部屋などは、やはり竣工前に売れてしまうので、その辺は運もあると思います。
逆にデメリットは、ズバリ価格でしょう。
「住友不動産」は、かなり強気な価格設定をされています。竣工後も販売でき時間的な余裕がありますから一般の人から敬遠されそうな価格でも、時間をかけて戸数分のある意味”お金持ち”だけを集められればOKなんです。
(他のデベロッパーは竣工前完売を目指していますので、金額的にもそこまで割高と感じられてしまわれないような絶妙な価格設定をしています。)
どうなる?今後のマンション供給
2015年度の供給計画を明らかにした有効回答104社の供給計画戸数合計:6万8,766 戸。14年度実績(6万9,178戸)に比べて0.6%の減少にとどまる見通しだそう。
なんか、最近SUUMOの雑誌なんかも少しずつ薄くなってきていて、供給戸数もっと下がりそうと思ってましたが、そうでもないんですね。
全体的に、消費増税前の駆け込みの反動で落ち込んでいた需要が年度後半から徐々に持ち直してくるとみられているようです。
2015年度の計画戸数が最も多いのは野村不動産の5,600戸。資材高の影響を受けや すい郊外型マンションを中心に14年度実績比で9.1%供給を減らす計画だが、ランキング1位は維持できそう。そして、注目は、近年マンション事業に積極的に力を入れてきている「積水ハウス」。なんと、前年比60%増の2,000戸と強気の供給を見込み、前年度実績の14位から7位まで順位が上がりそう。
▼関連リンク
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