前回(『液状化』よりも気にするべきこと その1)からのつづき・・・
「液状化」がないことが、本当に安全なんでしょうか?
「液状化」がないことが、震災時の安心につながるのでしょうか?
液状化は、たしかに不便ですし、起こらない方が良いに決まっています。
ただ、液状化がないエリアの方が安全という考え方は違うと思います。
私は、湾岸も視野に入れてマンション購入を検討しています。
するとよく友人からは、
「液状化があるエリアを検討するなんて、馬鹿だ」とか「地震のこと考えてないの〜?」とか
言われたりします。たしかに、地震被害の1種である「液状化」の可能性がある(もしくは高い)エリアを選択しているのだから、そう言われても仕方ないかもしれません。
でも私は、液状化は地震被害の1種でしかなく、もっと他に気にするべき地震被害があると思っています。
今後30年以内にくると言われている、首都直下地震の被害想定は、M7クラスが発生した場合の死者は最悪2万3千人、被害総額は95兆円という大規模なものになるとされています。
そして、その被害の7割は火災によるものであるという点に私は注目しています。
まず震度6強以上の直下型地震が発生するとほとんどの「旧耐震」住宅は全壊・半壊の状態になり、中にいる人は発生数分で死に至る可能性が高くなります。
そしてその「揺れ」による直接的な被害を免れたとしても、次に襲うのが「地震火災」と呼ばれる同時多発的に起きる火災です。これは自分の住む建物がいかに頑丈であっても関係ありません。阪神淡路大震災ではこの「地震火災」が震源域で一斉に発生。地域全体を包むような業火となり、消火活動はなかなか進みませんでした。
地震の被害は液状化だけではないんです。
建物倒壊や火災、そして津波ですね。
東京湾はその形状上、東京湾内であれば、
そこまで大型の津波になりづらく、
大きくても3M程までと想定されています。
堤防や標高がこれよりも低い所は要注意ですが、
これよりも高めに設定されているところも多いので、
楽観はよくありませんが、こちらはあまり気にしすぎても時間の無駄でしょう。
そして、建物倒壊や火災リスクについては、
東京都都市整備局が、「地域危険度」というものを測定調査し、公表しています。
これによると、都心部で「液状化の可能性がある地」だった場所を見てみると、
危険性が低いエリアが多いんです。
埋め立てによって、つくられた新しい土地で都心部ということも加わり、
日々開発が繰り返されてきたエリアの為、広い道路や最新の耐震・耐火建築など
非常に整備された街づくりがされていますので、倒壊や火災のリスクは少ないんです。
液状化での死者というのは聞いた事がありません。
個人それぞれ考え方はあると思いますが、
建物自体に液状化対策がされている今の時代であれば、
液状化の心配をするよりも、「地域危険度」を確認し、もっと他に気にするべきことが
あるのではないでしょうか。
関連リンク:地震に関する地域危険度測定調査(第7回)(平成25年9月公表)